【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



「私を助け出すため?」


「そうだな。…行くぞ」



恢が扉の方へと移動する。


父さん達は、これからどうするの?



二人に視線を向けると、母さんを抱きかかえている父さんがそこにいた。


母さんの腕が父さんに背にまわると一瞬だけ、父さんが母さんの頬にキスをする。



微笑ましいその光景に見とれてしまった。


二人は本当に羨ましいほど、仲がいいんだね。



そう思っていたところで、恢がピタリと立ち止まりこちらを見ているのに気づいた。


急いで恢の方へと向かう。




「…ここを出たら戦闘だ」


恢の前に辿り着くと、物騒な事を言われたこものだから身体が固まってしまった。