【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



「そのせいであなたや良牙まで苦しい思いをさせてしまったわ。…本当にごめんなさい」


「…ううん。私は平気」



そう…。


そのおかげで私は隆之さんと暮らせたし、この学園でたくさんの素敵な人達と会う事が出来たんだ。




そして蓮にも---


金色の髪に金の瞳を持つその人を思い出し、胸がドキンと鳴った。




…と同時に、胸に穴が開いたような喪失感に襲われる。


私は…恢ついて行くと覚悟を決めたのだから、蓮の事を忘れなくては---




そうなると家族皆と一緒に暮らすと言う夢は捨て、恢について行く事になるのだろう。



それでいい。


恢を一人にしてはおけないから---