【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



年は…、三十代後半くらい。


無精ヒゲの生えた野暮ったい中年男性を思わせる風貌の、白衣を着た男性。



でもどこか人を安心させる雰囲気を持つその人に、私は不思議にも親近感を抱いた。




お医者さん?


その人が、私達の目の前まで歩いて来た。




敵…、


ではないよね?



チラッと恢を見れば無表情でその人を出迎えていた。




「久しぶり」


そう言って母さんに抱きつくこの人と母さんの関係は一体なんなの?



目が点になる程、目の前で繰り広げている抱擁に娘の私としてはちょっと…と引いてしまった。