【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



「もし同情してるのなら、…俺が死ぬまでずっと傍に欲しい」


「えっ…?」



見上げた先にある端整なその顔立ちは、とても寂しげな笑顔を浮べている。




「桐生先輩…?」


「…死と隣り合わせになると人間とは弱くなるものなんだな」



きゅっと抱きしめている腕に力を込め、私の首に顔を埋め吐息を吐く先輩。


そんな事を言われたらこれからずっと、桐生先輩を守ってあげたいと思ってしまい頷きそうになった。



でもその瞬間、私に『好き』と言ってくれた蓮が脳裏を過ぎり、頷くことは出来なかった。



ごめんね桐生先輩。



「ここにお前を呼んだのはこの研究所のボスからの命令でもあるが、それよりもお前の母親を今後どうするか聞こうと、お前をここに連れて来た」



首筋に桐生さんの吐息が話すたびにかかり、くすぐったさに身体が強張る。


そんな私を知ってか知らずか桐生先輩の手が、背中をソッと撫で上げた。




いえ、先輩。


そんな事をされるとよけいに、くすぐったいですよ---