【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



この女性が…、


私の母さん?




カプセルの中にいる女性へと視線を向け、ガラス越しに手をつける---


静かに瞳を閉じているこの人が。




桐生先輩がさっき言っていた事が頭の中で木霊した。


このカプセルは寿命を伸ばす延命装置だと言う事を---




「………ッ」



瞬間、身体の力が一気に抜けた。


しゃがみ込む私の傍に桐生先輩が近づいたのを感じながらも、座ったまま目の前で眠っている母さんをジッと見つめる。



一気に視界一杯がぼやけて、何も見えない。


それでも母さんを感じていたくてガラスから手を離さず、そこから母さんの温もりを探し出そうとした。




温かみのない、冷たいガラスの手触りから---