「何故、こんな無茶を…」
「章吾様にケガをして欲しくないから…。出すぎたマネをしてしまいまして申し訳ございません」
そう言ってわたしの頬に手を添える静香殿の手を握りしめた。
華奢で繊細なこの手を私の手で包みこむ。
いつもは強気で男勝りな行動をする彼女からは一切女の匂いを感じさせないが、今はそんな姿などみじんも見せない。
あまりにも弱々しい姿の静香殿を見ていると、胸が切なくなる。
わたしは今までこの婚約者殿を、守ってやりたいなど思ったことはなかった。
しかし…、
今初めてわたしは静香殿を守りたいと、そう思った。
この方を生涯、全身全霊をかけて守り抜くと---
パシュッ---



