「綾香っ!」 走っても中々鏡夜殿に追いつかないと思っていたところで、鏡夜殿の大きな声がすぐ近くで聞えてきた。 辿り着いた先では、鏡夜殿が黒スーツの男に捕まっているのが目に入り足が止まる。 「鏡夜殿…」 「どうし…ました?」 わたしに追いついた静香殿が少しだけ息を切らしながら、木の影にいる私の傍から覗き込み息を飲んだ。 追いついた皆もやはり目の前の状況に息を飲んでいるようで、誰も言葉を交わす事なく食い入るように目の前の光景を見ている。