「あれは…、綾香だった」
「綾香?」
鏡夜殿の小さな呟きに時政殿が聞き返すが、それに返事をする事なくハッと息を飲むと同時に走り出してしまった。
行き先はさっきまで向かっていた所ではなく、黒い獣が向かった方向へ---
「鏡夜殿?」
「芹沢、待ちなさい」
わたしと先生の呼びかけに全く反応せず行ってしまった鏡夜殿に続き、わたし達も後に続く。
しかしあの一瞬では分からなかったが、まさか本当にあの獣の上に綾香殿が乗っていた?
すぐわたし達の視界から消えてしまった為、脳裏には残像しか残ってはいない。
その時、たしかに獣の背に何かが乗っていたのは分かったがそれが…綾香殿かどうかまでは気づかなかった。



