【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



  【玄武SIDE】


時政殿、静香殿、鏡夜殿、佐伯先生とわたくしの五人でガラスの割れた音の方角へと走っていた所、少し先の道から一匹の黒く大きな獣が飛び出してきた。



四足の獣と言えば犬や猫をイメージするが、それよりも更に大きな獣が学園内を走っていた事に驚きわたしたちは走っていた足を止め驚きに目を見開きながら唖然と佇む。




あれは…、


黒ヒョウか?




この学園でそのようなものを飼っていると聞いた事はない…。


では何故、ここに猛獣が野放しになっているのか?




「ね、ねぇ…。あの獣の上に人が乗っていなかった?」



あまりにも速いスピードで通り過ぎていった獣に暫し驚いていると、静香殿が走り去った獣の方角を見ながら問いかけてきた。



しかし静香殿の問いに誰も答える事なく皆、唖然としたまま動かない。




どのくらい、時間が経ったのだろう。


一番最初に動いたのは鏡夜殿だった。