【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



「キャァッ…」



ドシン---


私の行動を先読みしていたのか私がジャンプした瞬間、目の前にいた黒ヒョウがそれを阻止してきた。



何この黒ヒョウ、頭が良い。



地面に倒れた私は身体を横たわらせたまま、頭だけを上げて黒ヒョウをジッと見つめた。


黒ヒョウも視線を逸らす事なく、私を見る。



だから全然気付かなかった。


黒スーツの男達が私の傍まで来ていた事に。




「……ッ!」




気づいた時には私は白い布で、口と鼻を塞がれていた。




ちょっと…ッ?


そのまま私の意識は遠のいていく。




最後に目にしたのは…、


黒い獣の瞳の色---



輝きを帯びたような黒い瞳が、私を見下ろしていた。