【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



「ヘッ?」


突然の獣の行動に驚く間もなく、物凄い跳躍力で割れた天窓へと私を乗せジャンプする。


振り落とされないよう私は必死に首に腕を回したその時、フワリと匂いがした。




この香り…、


つい最近かいだことが事がある。




それは---


思い出そうとしたところで物凄いスピードで、その獣が駆ける。


あまりのスピードに逃げ出そうと手を離せばいいのに、離す事が出来ずにずっと獣の首を掴んだまま。




そしていつの間にか、獣がピタリと立ち止まる。


走っていた時間はそれ程経ってはいないから、まだ体育倉庫からは離れてない?



そう思ったところで、私は獣によって振り落とされてしまった。




「いたっ…」



かなり乱暴に落とされた為、振り落とされた拍子に肘を打つ。


痛む場所を手で押さえながら辺りを見回した。




現在位置は、学園の端…。


結構、遠くまできたようだ---



私の傍には私をここまで連れてきた獣と、その場で待機していたかのように佇んでいた黒スーツにサングラス姿の男達。




人間五人に獣一匹…


周りを眺めつつ黒い獣にもう一度視線を向ける。