「はっ?消えた?!」
さっきまで全くやる気が見えなかった鏡夜殿が会話に割り込み、時政殿の襟を掴む。
鋭い瞳で時政殿を睨むが、睨まれている時政殿もそれに負けじと鏡夜殿を睨みつけた。
「だから『お前達、どうした?』」
時政殿が何か言おうとしたところで、言葉を遮られる。
声のした方を見ると佐伯先生と静香殿が険悪な雰囲気を察したのか、驚いた表情でこちらに向かって来た。
二人の登場に眉間にシワを寄せながらも時政殿の掴んでいた襟首から手を離し、顔を背ける。
「綾香殿がいなくなったようです」
「あいつは体育祭実行委員だから忙しいんじゃないのか?」
のんびりと話す佐伯先生に、珍しくわたしは苛立った。



