やはり何も言う気はないようだ。 諦めて鏡夜殿に向けていた視線を前方へと戻し、次の目的地である部室棟へと足を向けたところでこちらに向かって走ってくる音に気づく。 後ろを振り返ると時政殿が血相を変えて走ってくるのが見えた。 「時政殿?何事ですか」 「ハァハァ…………、綾香…、綾香を見なかったか?」 「綾香殿?」 立ち止まった時政殿が、呼吸を整えながら切羽詰ったようにわたし達に聞いてくる。 「綾香に何かあったのか?」 「突然、綾香が校庭から姿を消しました」