「だってさ、綾香に手を出すんだもん。許せないじゃーん」 「綾香に?」 あいつに手を出したところで七人くらいだったらすぐにのしてしまっただろうと驚いていると、玄武が俺を呼ぶ。 俺と離れた所にいる玄武に視線を向けると、ジッと探るように俺を見てきた玄武がゆっくりと口を開いた。 「何やら辛いことが綾香殿にはあったようで、いつもの力が出なかったようです。目元にも涙の跡がありましたし」 「涙?」 思わず眉間にシワが寄った。