【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



目の前の男の瞳は、さっきと同じ黒色なのだが何かヘンだ---



瞳の色は先程と変わらないが、怪しい光りを帯びているようにも見える。




「お前が知る必要はない」


冷たい表情を俺に向けた桐生はそのまま身をひるがえし、綾香が消えた方へと向かい綾香同様俺から姿を消した。



綾香と桐生の関係は一体なんなんだ?




悔しい事にこの二人には共通の何かがある。


それは俺の入ってはならない領域のような---




拳を作り強く握った。


しかしどんなに強く握り締めても、この苛立ちは全く収まりそうにない。




ギリギリと音が鳴りそうな程、悔しくて握り締めていた時、ふと何かが頭を過ぎって手を握るのを止めた。



あれ、待てよ---