【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



パシンッ---


無意識にまた、綾香へと手を伸ばした。


しかしそれはすぐに綾香の手によって叩かれ遮られる。




テーブルの上にあった眼鏡をかけた綾香はそのままソファーから立ち上がると、窓に向かって歩いて行った。


窓の前まで辿り着いた綾香は、そこで一度立ち止まる。



すぐに出て行ってしまうと思われた綾香の行動に驚いていると、振り返った綾香が口を開いた。




「退学になった生徒の件、本当になんとかならないの?」


「…無理だな」



多分もう、会社経営をしていたら倒産は確実。


会社員の親を持つ者は、とっくに退職を余儀なくされている筈だ。




事は既に終わっている。


その状態からやり直せと言われたところでそれは無理と言う話し。



それには今回この件で使用した金額以上の、更に莫大な金がその為に必要となってくる筈だから。