「静香さん?」
「…すみません。そうですね、私は章吾様が好きです。とても愛しております」
でも…、
と付け加えた静香さんは下を向きギュッと目を瞑った。
辛そうなその表情に胸が切なくなってくる。
「章吾様は私の事など何とも思っておりません。単に親が勝手に決めてきた将来の伴侶であり、自分にとっては厄介者だと思っています」
「そんな事…」
「思っているのです。…自分の愛する人とは一緒になれず、別の女性と結婚しなければならない。…それは章吾様にとって私など、邪魔者以外の何者でもございません」
「静香さん」
何かに耐えるように瞳を震わせている静香さんに、何も言えなくてただ見つめる事しか出来ない。



