ソッと壊れ物を触るかのように綾香を抱きしめると、女特有の柔らかさと温かさがふんわりと俺の胸の中で納まる。 なんか…、 すっげー良い匂いするし--- 「この香りか?」 思わず呟いてしまったその言葉は綾香には聞えなかったようで、聞き返されることはなかった。 この香りが蓮の言っていた香りなのかと、綾香の髪に顔を埋め瞳を閉じる。 蓮の言っていたような気持ちが高ぶる事はなかったが、この香りをかいでいると俺の心が不思議と落ち着いてくる。 俺にとって心地よいものだと言う事には違いない。