しかし…、
桐生さんがピタリと動きを止めた。
そんな桐生さんに一瞬躊躇した時、その口から発せられた言葉に俺の動きも止まる。
「…興ざめだ」
桐生さんから感じていた気が一瞬にして消え去り、『今日は見逃してやろう。だが、次はない…』そう一言言い残し、そして去っていった。
その後姿を呆気にとられながら見送る。
桐生さんの姿が見えなくなってから綾香の存在を思い出し、急いで地面へと投げ捨てられた綾香のもとへと駆け寄った。
「綾香…、大丈夫か?」
そう言葉を発した俺より、綾香の方が俺を心配してくれる。
まぁ、少しばかり顔から血が出てりゃ心配もするか。



