【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



綾香を放り投げニヤリと笑う桐生さんを見た瞬間、一瞬にして俺の目の前にいた。


そしてすぐに拳や蹴りが飛んでくる。



避けようと身体を捻るも、その先に桐生さんの攻撃が繰り出されるのだから堪らない。


あまりの速さに手が出せずなすがままにされた俺は、そのまま地面へと倒れた。




「イッテェー…」


手加減をしない桐生さんを見るといつもの冷静さがなく、怒りに満ちていた事に驚いた。



ピリッと痛みを感じた口元を手で拭う。


冷たい視線を向けてくる桐生さんに、ゾクリと寒気を感じた。




俺、殺されるも?



そんな雰囲気を漂わせているその男から放たれた、『…死にたいか』の一言で更にその場の空気を凍りつかせる。