【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



横で蓮の動作を暫し見惚れている女がいた。


コーヒーを持ってきたウェイトレスだ。



その女を睨みつけてやる。


それに気づいたウェイトレスはペコッと一礼してから、そそくさと立ち去った。




コイツと居るといつもこうだ。


俺は虫除けか?




「で?どう感じてんだよ」


視線を蓮へと戻す。


すでにコーヒーをテーブルに置いていた蓮は腕を組み、近くにあった仄かなランプの明かりをジッと見ていた。




「…分からん」


「アテになんねぇー感だな」



その後、しばらく考え込んでいた蓮を見ながら、嫌な予感ねぇ…と、その予感について俺は考えを巡らしていた。


暫くしてから俺に視線を向けた蓮が口を開く。




「とにかく…、綾香から離れない方がいいかもしれないな」


「まぁ、お前に言われなくてもな。…ん?嫌な予感って綾香の事でか?」


「………」



それ以上、何も言わない蓮に思わずため息をはいた。