因みに私はここに来てから何かと『紅』と呼ばれているけれど、それは勝手に皆がそう呼んでいるだけで実際の私の名前は違う…
そう…、
不本意だけど、私の通り名は『紅』---
………らしい。
「絶対にお前を見つけてやる。…覚悟しておけ」
そう言って不敵に笑う会長を見て、一瞬ゾクリと寒気が走った。
これ以上ここにいると、この男に飲まれそうな気がする。
そう思った私はすぐに皆に背を向けると、何も言葉を交わす事なくそのまま塀を走った。
後ろから私を呼び止める声が聞こえてくる。
それでも私は気にする事なく、走り続けた。



