【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



誰かをこのように、思うのは初めてだった。




私の婚約者が強いからなのか、女とはそれ程守るべき存在とはあまり認識してはいなかったのだ。


逆に男よりも勇ましく強いとさえ思っていたこの認識を今、改める。




全身全霊をかけて、私はこの者をこれから守っていこう。


それ程までにわたしの心は紅殿に、囚われてしまったのだ---




「ねぇ、森里さん」



わたしの紅殿を思う気持ちがそうさせるのか…、


わたしを呼ぶ紅殿の声が心地よく、胸を揺さぶる。




自分の名前を…、


紅殿に呼ばれたらその気持ちはもっと強くなるのだろうか?