何者って、なに?
どう答えればいいのよ。
「分からないって顔してるね。俺って結構力が強いんだ。それなのに女の子である綾香に腕を掴まれて動けないなんてさ、おかしくない?」
そう実はさっき、私は朱利の腕を掴んだのだ。
勿論、ハサミをこれ以上振り回させないように。
笑顔を向けながらも、懸命に私から逃れようとしている朱利。
それに気づき、朱利を掴んでいた手を緩めた。
スルリ…と私から逃れた朱利は、悪戯っ子のように笑う。
「見てよこれ」
そう言いながら学園指定のブレザーの袖をまくり、自分の腕を見せ付けてきた。
そこには男性の腕とは思えない白魚のような腕に、私の掴んだ手の跡がくっきりと赤く浮かんでいる。



