「………」
さっきまで黒い笑みを浮かべていた先輩が、今は整ったその顔に驚きの表情を浮かべている。
軽く叩いたのに…、そんなに痛かったのだろうか?
不思議そうに芹沢先輩をジッと見つめると、視線が絡まりあった。
「お前ら何をしている。会議を始めるぞ」
静まり返ったこの空気を一変させたのは、会長の一声だった---
入り口に立っている会長と一瞬だけ目が合ったがすぐに逸らされ、自分の席に向かって歩く。
それを追うように視線をずらせば私の傍にいた時政先輩が私を見ている事に気付き、はっと顔を向けた。
視線の合った時政先輩は嬉しそうに微笑み、そして軽く手を上げながら生徒会の皆が座っている席へと向かって歩く。
そこは生徒と向かい合わせになっている席だ。
………、
今だ感じる視線---
すぐにその視線の主も目の前からいなくなるであろうと思っていたのに、一向に動く気配がない。
はぁー…、
心の中で溜息をつき、もう一度、芹沢先輩を見た。
やはりまだ私を見ている。
一体、どうしたのか?
そう聞こうと口を開いた時だった---
「鏡夜」
会長が芹沢先輩を呼んだ。
その声に当の本人は眉を寄せ嫌そうな顔をする。
そしてチラッと生徒会の皆へと視線を向けた芹沢先輩は諦めたような表情となり、そして自分の座るべき席へと向かって歩き出す。



