【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



「ちょっ、逃げんなッ!」


「玄武…、行け」




ザッ---


その名を呼んだ刹那、コンクリートを踏み鳴らす音が聞こえた。



金髪男の後ろから、ガタイがよく背の高い黒い短髪の男がゆらりと前へ出てくる。




「紅殿…、覚悟っ!」


唸るような声と同時に拳が飛んできた。



玄武…と呼ばれた大男は、図体が大きい割にはかなり素早い動きをしていた。