「帰って来い、綾香」 「………ッ」 ドキンッ--- 隆之さんのその一言に、胸が大きく高鳴った。 うん、帰る--- そう口から零れ落ちそうになったのを何とか押し留める。 今、帰ったら私はきっと… 隆之さんに甘えて優しくされて…、そしてそのまま自分の気持ちを隆之さんへとぶつけてしまうだろう。 「もう少し…。もう少しだけ頑張ってみる」 「…そうか。もし辛くなったら、いつでも戻って来るんだぞ」 隆之さんの優しいその言葉に、私の目頭が熱くなった。 だからそんなに優しくしないでよ、隆之さん。