【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



そう思うのが普通は当たり前なのかもしれない。



でも…、


そんな当たり前の瞳を持っていない私は…、


オカシイのかもしれない。



その考えに胸がズキリと痛んだ。




「…じゃ、紅。自己紹介する前に軽く挨拶しよっか」


「………」



気持ちが沈んでいたところでさもあたり前と言わんばかりに、金髪男に喧嘩を促される。




私は…、


好きで瞳の色が紅いわけじゃない---



その思いを振り切るように瞼を閉じ、気持ちを建て直す事に務めた。