ごそごそ、と

持ってた鞄の中の何かを探し出す真大。


…飴でもくれるのだろうか。


「…これ」

「…」

「これ、今日結に渡すために、ずっと書いてた」


…そういって真大が差し出したもの。

それは。


「…ノート…?」

「…うん」


普通の、良く見るノートブック。

これを、どうしてわたしに…?



「…お前さ、前にフォーチュンクッキーくれただろ?そのメッセージ、ちゃんとお前の約束通りに毎日食べたんだ。そしたらさ、」

「…っ」

「すげー元気出てくんの。学校行くときも、バイト行くときも、あぁ頑張ろうって」

「………っ」



目が自然と涙でぼやけていく。
そんな中でも見える、初めて見る真大の字。

男の子らしい、大人っぽい字だった。


『10月17日。今日は結にフォーチュンクッキーをもらった。中からなんか出てきた。結からのメッセージらしい。前向きな言葉だ』

『10月19日。今日は結が学校でいいことがあったらしく、たくさん笑っていた。俺も笑えた。本当にバイトが楽しい』

『10月24日。今日は1日ハッピーな日になるらしい。でもバイトはない。学校でいいことがあるのだろうか』

『10月29日。結が泣いていた。電話をしている間に、いつのまにかいなくなっていた。今日のメッセージは笑っていましょう、だったのに。お前が泣くなよ。笑』


…そこには、わたしが書いたメッセージに対する返事がたくさん書かれてあって。
それは1日だって抜けることがなかった。