「えー? 勘違いなのー?
ヒナ、俺のコト嫌いー?」


「っっ??!!
いやいや?! キライじゃねーですケドも?!」


「じゃ、結婚するヨネー?
予行演習もするヨネー?」


「ななななな…///
ソレとコレとは…///」


「だいじょぶ、だいじょぶ。
帰る前にヒナんチ寄って、ちゃんとご両親に婚約の報告するからー。」


「ぅえええぇぇ??!!
まじか?! まじでか?!」


全力でまじデスとも。

とりあえず演習一日目は、ベッドから出られないと覚悟してクダサイ☆

一日のつもりが大幅に延長されても、ソレは大目に見てクダサイ☆

日向を引きずるように…
いや、半ば担ぎ上げるようにして、由仁は崖を登った。

もうココに用はナイ。

次に訪れるのは、望まれた未来が現実になった時。

幸せになるよ、きっと。


(…
コレでいーンでショ?)


一度だけ振り返り、陽光を受けてキラキラ輝く小川の水面に視線を送る。

吹き抜けた夏の山特有の匂いがする風の中に、嗅いだ記憶もないクセに、やけに懐かしいと感じる香りが混ざった気がした。