ナニがヤバいって、ジレンマがヤバい。

由仁の脳内で悪魔が囁く。

監禁されたヨー
ダレも来ないヨー
食っちまいナー

由仁の脳内で天使が囁く。

ダメダメー
昨夜、散々食ったでショー
目的を思い出せー



あぁ、わかってるよ。

そう。
目的、ね。

探さなきゃなンないモノがあるから、ね。

目的‥‥‥ クっ


「先輩?
どーしました?」


ジレンマを発生させた張本人があどけなく首を傾げ、欲情を堪えて歪む顔を覗き込んでくる。

このコは…

ほんとーに、なーんにも、わかってないみたいだネー。

どれだけ食らっても飢えが満たされないくらい、夢中にさせといてさー…

全く…
覚えてやがれ、コノヤロー。


「…
も…目的を…遂行シマス…」


握った拳をブルブル震わせて。
ギリリと奥歯を鳴らして。
悔しげに唸った由仁を、日向は心から不思議そうに見つめた。

なんつーか…
ほんとご愁傷サマ。