私が彼を知ったのは、中学二年の時だ。

その頃の私は、アスピリンを大量摂取したくなるほど頭のイタいコだった。

育ちきっていない薄っぺらい胸にこれでもかとパッドを詰めて 露出度の高い服を着て。

幼い素顔とのビフォー・アフター感が泣けるくらいの厚化粧をして。

目一杯オトナぶって、夜の街で遊び狂っていた。

黒歴史とは、まさにこのコト。

豆腐の角に頭ぶつけて死ねよ、中二の私。

いくら背伸びしていても、中学生のおこづかいなんてたかが知れているワケで。
だけど、犯罪に手を染めるほどの根性もないワケで。

日々金欠に苦しんでいた私は、ナンパには躊躇なく乗っかっていた。

無銭飲食、無銭カラオケ、ゴチソーサマ。
帰り際に、フリメの捨てアド教えてサヨーナラ。

いつだってオイシー思いができたし、仲間と一緒にいれば危ない目に遭うコトもなかった。

あの日までは。


「ねぇ、カーノジョ。
暇してるの?
一緒に心霊スポットなんて行ってみない?」


心霊スポット?
ゴハンやカラオケじゃなく?

スリリングで、オモシロソー…

なんて思ってしまい、つい一人キリでナンパ野郎に着いてっちゃった、あの日までは…