「おー、やってみ、やってみ。
開いたら、オネーサンがナンカ奢ってやろう。」


微笑んだ百合が、日向の手に箱を乗せた。


「まじデスカ。
じゃ、回らない寿司でも」


「無理。
てか、チョイスが女子高生らしくないし。」


笑いながら、日向は箱を弄る。

コレ、先生の私物カナ?
ナニが入ってるのカナ?
ラブレターだったり? 秘密なダケに?
小判だったり? 古いダケに?
よし、その時は山分けで…

くだらないコトを言って笑いながら、日向は箱を弄る。

こーゆーのに集中していると、余計なコトを考えずに済む。

そうだ、ジグソーパズルでも買おうカナ。

そうすれば、この不安を忘れていられるカナ。

ズキズキ

うん、わかってるよ。
そんなの現実逃避だって。

でも、この胸の痛みを止める方法はわからない。

ズキズキ


(あ…)


痛みに共鳴するように、手の中の箱の感触が変わった気がした。

ひ ら  く …


「え?日向? 日向っ??!!」