「いや、軽いのか。愛のないエッチでもほいほいとついてくるような女だもんな。それがバージンとか、もう女として終わってるわ」
くくっ、と肩を揺らして笑う彼。
「操(みさお)つーの?もっと大事にしろよ。ま、俺が言うなって話だけどな」
「…」
大事にするって、何?
エッチって、そんなに大事?
愛がなくても、それでも彼をちょっとでも独り占めにできたことに喜んじゃだめだった?
「わたしは後悔してないよ。初めてを伊織君に捧げることができたから」
「それが重いつーんだよ」
彼は間を空けずに、冷たい口調で言い放った。
「勝手に捧げられても困るし。うざい。キモい。帰れ」
「伊織君」
「…なに」
彼の部屋は殺風景で、ベット、机、テレビと必要最大限のものしか置いていない
だから埃すら被っていないその写真が、余計に目立っていた。
「お姉ちゃんのこと、まだ諦めきれない?」


