そこには眠っていたわたしに、智充君が唇を重ねている姿があった。
ーチューしたくなるぐらいかわいかった。
まさか本当にキスされていたなんて知らなかったわたしは動揺して、彼から目を背ける。
そんなわたしに、彼が追い打ちをかけた。
「上崎がなんか俺のこと言ってたっけ。結局、あんたもそうじゃん。男なら誰でもいいんだろ」
「違、これは…」
「ま、あんたが誰とナニしようが俺には関係ないし」
「伊織君」
「ただ気に入らねえのは、あれだけ俺のことすきすき言っといて、別の男にもケツ振ってんだ」
「…」
「さすがあの姉にしてこの妹あり、か。大人しそうな顔して、やることえげつないな」
ズキン。
ーさすがあの姉にしてこの妹あり、か。
彼の言葉に胸が痛む。
「俺をナメるのもたいがいにしろ」
今までの彼も冷たかったけれど、今日の彼はそれ以上に冷然たるとわたしを見下ろしていた。
違うのに。そうじゃないのに。
どうしてだろう。
何度、口に出しても身体で示しても、わたしの気持ちは彼に伝わらない。
こんなにすきなのに。
どうしたら彼は気付いてくれるのーーーーーーーーーーー?


