午前七時。

昨夜は一睡もできず、目覚まし時計のけたたましい音が頭に響いた。

よいしょ、と重い体を起こして、鏡を見る。


ひどい顔。

メイクでうまく隠せるかな。


鞄から化粧ポーチを取り出しながら、わたしはベットのサイドテーブルに置いていたスマートフォンに目をやった。


メールが一件来てる。


わたしはため息を吐いた。




眠れなかった原因は例のイタズラメール。

昨日は今までで一番多く、ひどい時には30分のうちに五件も来ていた。

それも内容は変わらず、《しね》の二文字だけ。

ここまでくると、イタズラにしては度が過ぎている。



どうしてわたしにこんなことをするのだろうか。

一体誰が、どうして。



ふと谷口さんの顔が頭に浮かんで、わたしはすぐさまそれを打ち消すように首を振った。

そもそも彼のことが絡んでるとは限らないし、証拠もないのに勝手に人を疑っちゃだめだ。

今のところ実害はないし、たかがメール。
無視をすればいいだけのこと。

わたしはスマートフォンを手に取ると、来ていたメールは例のイタズラではないことに気付いた。



《今日、忘れるなよ》