迷惑メールじゃないかもしれない。




一体、誰なんだろう。


なんだか、怖い。





だけど心当たりがないわけじゃない。



もしかしたら、依存者かも。

わたしと同類の。




彼のことを好きな人は山ほどいる。


わたしと彼のカンケイを知っている人が一人いても不思議じゃない。


可能性はないわけじゃなかった。






結局、そのことを誰かに相談するわけにもいかず、わたしはもやもやしたまま学校に向かう。

下駄箱で靴を履きかえていると、背後で気配を感じた。



ー《しね》

あのメールが届いてから過敏になっていたわたしはとっさに振り向く。




「あ…」



そこには彼が立っていた。

彼はわたしを見るなり、チッと舌打ちを鳴らした。


「伊織君、風邪もう大丈夫なの?」




無視。




「ごめんね。わたしが屋上に呼び出したから」




やっぱり、無視。




無言でわたしの横を通り過ぎて階段を昇っていく彼の後を追う。


「怒ってる、よね?」

「…」

「ごめん。もう外に呼び出したりしないかーーー痛ッ」


いきなりデコピンという、彼からの制裁。

手加減なしの激痛にもがいていると、彼は不機嫌そうにいった。


「謝るのはそれか?こっちは腹空かして待ってたっつーのによ」