こういう時、友達って本当にいいなと思う。



菜々緒がいてくれてよかった。


今夜は一人でいたくなかったから。





駅前のカラオケで菜々緒と声が枯れるまで歌った。

相変わらず、彼からの返事はなくて、きっと谷口さんがそばにいてくれてるんだろうなと思ったら胸が苦しくなる。

菜々緒が何度も彼のことを諦めろって言ったけれど、わたしはどうしても言葉を濁してしまう。



簡単に諦めることなんてできない。



やっぱり嫌いになれない。

嫌いになりたいのに。




「一種の依存だね」




菜々緒は嫌味で言ったのかもしれないけれど、わたしは妙に納得してしまった。


そうかもしれない。
わたしは彼に依存してるんだ。

イケナイクスリを飲んだみたいに。

次が欲しくて。
彼が欲しくて。

断ち切る術を知らなくて。











ブルッ、とスマートフォンが震えた。



彼かもしれない。



期待が脳裏を過ぎったわたしはすぐにメール画面を開いた。

と同時に目を疑う。





…なにこれ。