次の定休日。


私と夏樹さんは朝早く起きて電車に乗り、新幹線に乗り換えた。


東京までは2時間弱くらいだ。


「おやじ今日は忙しいみたいで、あんまりゆっくり会えないんだけど、11時からアポが取れたから」


休みも合わないし、忙しい二人なだけに、ゆっくり会うのもままならないよね。


今日私は、夏樹さんが買ってくれた服を着て来た。


まさかこんなに早く着る機会が訪れるなんて思わなかった。


普段、仕事でしか履かないヒールも履いて来たし、なんだか緊張しちゃうな。


新幹線が東京へ到着すると、私達は地下鉄に乗り換えてオーナーのいるオフィスへと向かった。


「ここだよ。このビルの最上階」


ぶっ、また最上階?


オーナーって高いところが好きなのかな。


私と夏樹さんは、エレベーターに乗り込んだ。


「由梨、緊張してる?」


「……うん」


「大丈夫。俺がついてるし。それに由梨、その格好すごく似合ってる。綺麗だよ。何の心配もいらない」


「夏樹さん…」


夏樹さんはいつもそうやって、私を勇気付けてくれる。


夏樹さんの言葉に少し気持ちが落ち着いて来た頃、ついにエレベーターが最上階に到着した。


オフィスに足を踏み入れると、受付の女性がスッと立ち上がった。


「お疲れ様です」


「こんにちは」


「社長がお待ちです。どうぞ、お入りください」


「ありがとう」


そうか。

 
オーナーって呼んでるのは私達だけで、ここでは社長だった。


社長室の前に到着すると、夏樹さんがドアをノックした。


「どうぞ」


オーナーの声だ。


夏樹さんは扉をガチャンと開けた。