「ありがとー」

「いいえ~」


朝食を食べ終えた私は顔を洗い歯みがき、まだ着慣れないブカブカのセーラー服を着て身支度をして、ダサい鞄を持って家を出た。
朝日は眩しく、いつもの朝の静けさがそこにはあった。



私は最近中学生になったばかりの崎原愛。
中学生になったら何か変わるような気がしたけどそうでもなく、大きな変化と言えばダサい制服を着て登校することになったことぐらいな気がする。
いや、細かいところは色々あるけど、別に大したことじゃないと思う。
仲の良い友人とは同じクラスだし、家から学校までそこそこ歩くの同じだし、部活は帰宅部だから前とあんまり変わらないし、勉強は相変わらず面倒だし。

それでも、私は毎日がそれなりに楽しかった。



通学路を歩いて行く内にだんだんと人が増え、学校に着くと昇降口の前で声をかけられた。