音色は、黒い影の一歩前で止まると
フルートを吹くのをやめて、
すっと片手を出した。

「大丈夫、怖くないよ。
出ておいで♪」

………なにが、いるの?

すると、音色の言葉に安心したのか
おずおずと黒い影が出てきた。

「わあ!!可愛い!」

「うおっ!ウサギだ!」

「ラボ内に、ウサギなんていたんだ。」

そう、黒い影の正体はウサギだった。
五匹ほど出てきて、音色の周りを
ピョコピョコ跳ねている。

「また、弾いて欲しいの?
………もちろん!弾いてあげるよ♪」

音色は、ウサギたちとまるで会話するように
言葉を発すると、ニッコリと微笑み
再びフルートを吹き始めた。

今度の曲は、明るく楽しい、
元気が出るようなメロディーだった。

ウサギたちは、喜んでいるのか
音色の周りを回っている。

そして、木々の間から
音色のメロディーに合わせて、
鳥たちの合唱が響いてきた!

うわぁ………すごい!
会話してるみたいに、息ピッタリ!