今度こそちゃんと見ている私たちを
ちらっとみた後、信用してくれたのか
朱雀に向き直り、両手を動かした。

すると、朱雀は甲高い声で鳴きながら
湖や私たちの上を飛び回る。

「キレー……。」

「すごいね……。」

「火焔って、意外と凄かったんだね。」

三人ともそれぞれの感想を述べながら
朱雀と火焔を交互に見る。

しかし、朱雀が飛び回った後には
火の粉が飛び散り、炎があがった!

「わっ!」

「あぶなっ!」

「か、火焔!やめて!
木々たちが泣いてる!」

火焔への文句を言っただけの
私と氷華とは違い、音色は慌てながら
火焔に朱雀を止めるよう叫ぶ。
けれど、夢中になっているのか
火焔は音色に全然気づかない。

「ね、音色?どうしたの?」

「亜琥亜!あの朱雀を止めて!
木々たちが泣いてるんだ!」

おずおずと話しかけた私に、
音色は飛び付くようにすがってくる。

「ど、どういうこと?………泣いてるって?」

「音のスターのおかげで
僕には、木々たちの声が聞こえるんだ…。
だから火が付いている今は、
凄く苦しんでいる。
お願い、亜琥亜!止めて!」

音色の言っていることがようやく分かった私は
、音色に力強く頷く。

「分かった、任せて!」

そう言って、五歩前に出ると
氷華に呼び掛けた。