「じゃあ、有り難く逃げさせてもらう。
....ほら、お前ら。早く立て。」

リーダーっぽい人は、周りの人達を立たせ
勢いよくドアを指さす。

意味がわからなかったみたいだけど、
しばらくすると

____全力で走り出した。

それは、まるでお祭りのように。
全員が大声で叫びながら。

「自由だー!!」
「もう、こんなこと2度としねぇ!」
「家に帰ろうぜ!」

たぶん、この数十分の出来事が
よほど怖かったんだね....。

「....逃げ足はやっ!」

「怖かったのねー....」

呆れたように呟く音色と氷華。
何も言わない男子たちの顔にも
苦笑が浮かんでいる。

私達がその光景を見ていると、
不意にカツ_と靴音がした。
と、同時に

「__じゃあな、学園の皆さん。
これから色々あると思うが....
せいぜい頑張れよ。」

この短い時間で聞きなれた、
低いテノールの声がする。

そして、彼は少しだけ微笑むと
カツカツ_とゆっくりとした足取りで
ラボから出ていった。