それでも花音は嫌な顔なんてしなかった。 ピアノが好きってことが分かってしまうくらいに嬉しそうに笑う。 そして教室に入って、ピアノのもとまでやってきた。 1つの音を鳴らす。 ───…ポーン♪ そして、椅子に座りノートを膝に置くと、 ゆっくりと花音の指は動き出した。 …〜♪〜♪〜♪ ほら、こうやって楽しそうに音色を奏でる。 不思議だな? 花音の奏でる音は。 俺の心をこんなにも温かくする。