───ガラッ。 ドアを開けると、花音はピアノを切なそうに見ていた。 手には、あのノートを持っている。 「花音?」 声をかける。 「……あっ。優くん」 俺に気づいた花音は、笑いながらこっちを見た。 ……どうしたんだ? 声が聞けるのは嬉しい。 でも、なんだか弱々しい声。