「優くん…。私、走ってきたから汗くさい……」 「んなの、どうだっていい…。 このままでいさせて」 もっと、実感させて。 花音の温もりを…。 今、俺の名前を呼んでいるのは…君なんだって。 「……優く…。わ…私っ…。 私も……優くんを抱きしめ…た…い」 「うん」 「抱きしめて……いい?」 花音の肩に顔をうずめている俺は、 花音の声を耳もとで聞くことができた。 「うん」 きっと、もっとうまい返しがあったと思う。 でも、今の俺には、 それを言うのが、精いっぱいだった。