そんな私を見て………梨乃は小さく笑ったんだ。 『おね、ちゃ』 まだ覚えたての単語を、舌っ足らずな言葉で懸命に話しながら。 梨乃が“お姉ちゃん”と言ってくれたことが嬉しくて嬉しくて、私はお母さんの顔を見上げた。 するとお母さんはそんな私を見て……優しく目を細めたんだ。 その優しい瞳、優しい笑顔。 私を安心させてくれるように笑うお母さんが……本当に大好きで。 でもこれが、人生で私が目にするお母さんの最後の笑顔だった。