もう泣かない。
あたしは貴方を想って、笑っていられるような人間になりたい。
…あれから二年後。
あたしの体はだいぶよくなり、生活も安定していた。
リビングでコーヒーを飲んでいると、母があたしに一枚の手紙を差し出してきた。
あたしは何の疑いもなくその手紙を受け取る。
ラベンダー色の手紙が、その人の色を表しているようだ。
その手紙を持って、自分の部屋へと向かう。
部屋からあるものを持ち出して、家を飛び出した。
それは、愛用ギター。
「行ってきます!!」
今日も快晴。
太陽が笑っている。
光。
あたしのこと覚えていますか?
あたしは元気です。
貴方にもらった愛を、大切にしています。
貴方と出逢った海であたしは休日になると唄いに来ています。
貴方が好きだと言ってくれたあの唄を。
お気に入りの場所に座り、あたしは手紙を開ける。
《明菜さんへ》
達筆な字から彼女の人柄が見えてくる。
優しいくて柔らかい字。
笑顔を溢しながら、その先を読んでいく。


