この日、あたしは光から沢山の《愛してる》をもらった。
その言葉を聞く度に、愛に包まれる気がしたの。
遠い場所に住んでいても、あたしと光はきっと見えない赤い糸で繋がっている。
そんな気がするのはあたしだけだろうか?
旅行カバンの中にあたしの服と千絵の服を入れていく。
この町を出ていくわけではない。
明日から場所を変えるだけ。
なんのため?
それは大切なことを千絵に教えにいくためよ。
「明菜、千絵を光くんに会わせるのか?」
突然、部屋のドアを開け、あたしの背中に言葉を投げた父。
その言葉に無視をして黙々と準備を進める。
「今さら会わせてどうするんだ!?光くんは明菜を置いて行って…」
ばたん。
勢いよく締まるカバン。その犯人はあたしだ。
父の言葉が許さなかった。
お父さんは分かるの?
光があたしをどれだけ愛してくれているか。
分からないでしょう?
光はあたしに恋を教えてくれた。
そして愛も教えてくれた。
なにより、千絵という家族もくれた。
全て光なのよ。
「光は守れない約束をしない人よ。あたしを愛してくれている。あたしも光を愛しているわ…。
お父さん、ごめんね。」
ふと視線をベッドに移すと、気持ち良さそうに寝ている千絵が映った。
「もしかして…お前…」
「あたしは千絵の幸せを誰よりも願ってる…」
…その翌日、あたしは千絵を連れて、東京へと旅立った。


