許してください。
こんなあたしのことを、どうか許して…。
子供を産むことは、簡単なことじゃない。
言葉では簡単に表せるけれど、とても難しいこと。
この子をどこまで愛せるか、不安だ。
けど光があたしに言ってくれたように、あたしはこの子を《命にかけて》幸せにする。
必ず、必ず。
ここに、新しい命がある。
ねぇ、聞こえる?
あたしの声、聞こえますか?
光?
貴方は許してくれないかもしれないね。
この世界に、血の繋がった子供を残すことに対して。
でもあたしは産みたい。
堕ろせ、と言うかもしれない。
もう気づいてしまったの。
あたしは女じゃない。
母親なの。
この子の、たった一人の母親なの…。
「明菜…どうかした?」
光の言葉に現実に引き戻される。
目の前には優しい光の笑顔。
「…真剣に聞いて欲しいの…」
お願いだから、その笑顔のままでいて…
そしてあたしを抱きしめて…
「ん?なに?」
波音がいつもより穏やかだった。
柔らかい風があたしたちを包み込む。
「光がもしいなくなったとしても、あたしはもう一人じゃないわ…」
「それ…って?」
目を見開いて、固まった表情を見せる光。
「子供が出来たの…。
光との子供。あたしは…」
言葉が詰まってしまう。なんて言ったらいいか…分からない…。
その瞬間、あたしはこの風と共に、光に抱きしめられた。
「すげぇ嬉しい!!
明菜!!絶対産んでくれ!!」
あたしは、貴方に…
愛されているよね?


